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業務プロセス(三点セット)におけるリスクの視点が変わった?

内部統制の導入が騒がれた当初、業務プロセス(三点セット)におけるリスクの視点は主に不正がメインでした。これは、そもそも上場企業の粉飾決算を防ぐための制度であることを考えれば極めて理に叶った視点だと言えます。しかし、いきなり従業員に社内で不正の発生しうる業務ポイントを洗い出して欲しいと指示をしても、普段の業務で不正を意識しない人にとっては非現実的なリスクの視点だったとも言えます。

ところが、ここ最近のIPO準備企業に対して、不正の視点で作成されたRCM(リスクコントロールマトリクス)では監査法人側から修正依頼をしてくるケースが出てきています。その具体的な内容は、業務プロセス(三点セット)におけるリスクの視点を“誤謬(ごびゅう)”にして欲しいとのことです。

誤謬とは、悪意のない間違いを意味しており、要はパソコンへのデータ入力の作業ミス等を財務報告リスクとして扱うことになるのです。そして架空計上や取引隠蔽といった不正リスクについては、大きくは“事業リスク”として分類して考えるため、過去のRCMとはリスクの捉え方が大きく異なります。

既に上場している企業は、不正リスクをメインにしてRCMを作成したまま更新しているにも関わらず、これからIPOを目指すベンチャー企業には不正リスクの観点が求められない。見方によっては、より従業員にわかりやすい実務対応に変化していると言えますが、そもそも内部統制がスタートした背景からは遠ざかっている気がしてなりません。

ここからは個人的な勝手な推測ですが、従来の不正リスクに視点を置いた内部統制評価のために作成する業務プロセス(三点セット)は、「自社内で不正が出来る業務手続きの隙間を従業員に教える書類」になっている一面があると常々感じていました。万が一、この書類を元に従業員が不正をしやすくなりますし、何らかの方法で社外に流出すれば、その企業にとっては大きなリスクです。そのような事態を避けるためにも、不正の視点から誤謬の視点への切り替えが進められている可能性を感じたりもします。

なお、会計士によって内部統制監査に対する考え方が若干異なるため、ここで書いたリスクの視点がどの監査法人にも通用するものではない事を注釈させていただきます。



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2011.11.29 石井真人
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